■ ダンス教室


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 東京さ、嫁ッコに行ったぁど。
 ひまなんで、ダンスを習ったぁど。
 そしたら、先生が何度も、おっきな声で
「ズンズ タッタッ
 ズンズ タッタ~!
 はぁい、リズム良ぉ~く、元気にっ!」
 そのたんびに、しょうすがったど。

   (注:男性器のことを宮古ではズンズと呼ぶ)


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# by miyako_monogatari | 2009-05-14 05:07

■ ドンコ


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 東京がら、嫁ッコが来た。
 犬ッコだの鳥ッコだぁのど、コがつぐのを聞いで、
「わたしには言えないわ」
 って笑ったぁ。
 それで、魚屋さ行って、喋(さべ)ったぁどさ。
「このドン、下さい」


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# by miyako_monogatari | 2009-05-13 08:07

■ 挿絵ギャラリー  2


                   【絵師】 海猫屋さんのブログ 夜の海猫
                         けむぼーさんのサイト けむぼーギャラリー
                         うららさんの 作品集 



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 うららさん  ホドゲさまの通り道

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 けむぼーさん  煮 豆

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 けむぼーさん
 かぜっこ

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 海猫屋さん
 ホドゲさまの通り道

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 海猫屋さん  イダゴ墓

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 けむぼーさん  煙突山の河童

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 けむぼーさん  イダゴ墓

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 けむぼーさん  きりなしばなし3

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 海猫屋さん
 横山の伝承

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 うららさん  ケッケーケー

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 けむぼーさん  きりなしばなし2

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 海猫屋さん  きりなしばなし1

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 うららさん  横山の伝承 逆さ銀杏

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 海猫屋さん  カッズンズ

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 海猫屋さん  船幽霊(二つで一つの話)

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 海猫屋さん  ヨ ダ

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 海猫屋さん  機織り滝

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 海猫屋さん  腹帯ノ淵

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                   海猫屋さん  煙突のてっぺんに

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 うららさん  ヌガボーとリンゴバナ

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 海猫屋さん  猿丸太夫

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 けむぼーさん  啄木うどん

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 海猫屋さん  枕返し

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 けむぼーさん  宮古海戦

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 けむぼーさん  オガンブヅ

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 海猫屋さん  横山の伝承 源義経

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 海猫屋さん  煙突山の沼

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 海猫屋さん  寄生木(やどりぎ)

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 けむぼーさん  夜の黒森に…

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 けむぼーさん  小さな親切

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 海猫屋さん  狸の女

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 けむぼーさん 
 尾玉さまと姫さま

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 けむぼーさん
 ド ン

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 けむぼーさん
 カレー
 
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 海猫屋さん  C58283号の悲劇

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 けむぼーさん  閉伊川太郎

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 けむぼーさん
 糸巻き

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 海猫屋さん  潮吹き穴

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 けむぼーさん  捨てられたヌガボー

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 けむぼーさん  マガレー

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 けむぼーさん
 潮吹き穴

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 けむぼーさん  オシャラク島

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 海猫屋さん  小野小町

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 けむぼーさん  狐のミイラ

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 海猫屋さん
 鮭の又兵衛さん

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 けむぼーさん+海猫屋さん  代 官

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 海猫屋さん  ダンス教室





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# by miyako_monogatari | 2009-04-22 17:10

■ 挿絵ギャラリー  1


                   【絵師】 海猫屋さんのブログ 夜の海猫
                   【絵師】 けむぼーさんのサイト けむぼーギャラリー


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 けむぼーさん  タコーラの姉妹

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 海猫屋さん  鼻折れ天狗

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                                  けむぼーさん  一本杉の天狗
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 海猫屋さん  ヌガボー

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 けむぼーさん
 天狗のすもう

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 けむぼーさん
 鼻折れ天狗

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 海猫屋さん  船幽霊

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 けむぼーさん  黄金淵

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 海猫屋さん  山 姥

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 海猫屋さん  淵の底の娘

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 海猫屋さん  川井の巨漢

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 けむぼーさん  狸の女

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                                     けむぼーさん  狸の旦那
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 海猫屋さん  ニーロンとアズミ

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 けむぼーさん  山口川の水争い

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 海猫屋さん  おつゆ女房

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 けむぼーさん
 山姥の最期

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 けむぼーさん
 狐の仕返し

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 けむぼーさん  ひなりっこ

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 けむぼーさん  化け猫

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 けむぼーさん  カツギの辰

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 海猫屋さん  化け猫

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 海猫屋さん  横 山

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 海猫屋さん  スネコタンパコ

a0115014_5573133.jpga0115014_220387.jpg けむぼーさん
 シラヒゲのオキナ

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 けむぼーさん  イタコ石

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 けむぼーさん  トンコロリン

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 海猫屋さん  スマコワラス

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 けむぼーさん
 狐の名所

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 けむぼーさん  柿入道

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 けむぼーさん  あっかんべえ

a0115014_2484933.jpga0115014_2463426.jpg けむぼーさん
 夜這い仁王

a0115014_2205780.jpga0115014_23948.jpg 海猫屋さん
 八戸穴

a0115014_6225820.jpga0115014_2153487.jpg けむぼーさん
 頭に柿の木

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 海猫屋さん  音羽姫

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 けむぼーさん  大うなぎ

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 けむぼーさん  デエゴ泥棒

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 海猫屋さん  天狗笑い

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 けむぼーさん  赤前は昼前

a0115014_3415962.jpga0115014_13113274.jpg 海猫屋さん
 浮島池

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 海猫屋さん
 沖ノ井

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                                    けむぼーさん  牛方と青鬼
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 けむぼーさん  オスラサマ

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 けむぼーさん
 海の六地蔵

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 けむぼーさん  怪盗ワセゴン

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 海猫屋さん  津軽石

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 海猫屋さん  髪長姫

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                                   けむぼーさん  牛方と一ツ目
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 けむぼーさん  トクサ畑で

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 けむぼーさん  駒止めの桜

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 けむぼーさん  天狗のグウ

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 けむぼーさん  山 姥

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 海猫屋さん  尾玉さま

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 けむぼーさん  小さな石臼

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 海猫屋さん  黒森のオロチ




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# by miyako_monogatari | 2009-03-30 07:00

■ 表紙 こんな感じ?


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# by miyako_monogatari | 2009-03-29 03:35

■ 天狗笑い


a0115014_614148.jpg 小沢(こざわ)のきこりが、ひとりで黒森さんに登った。
 切りはらった枝や落ちている枯れ枝をひろって焚き木をつくっていた。
 すると、かーんかーんと斧で木を切る音がこだまする。
 つづいて大きな木が倒れる音と地ひびきがする。
 ばりばりっ
 どし~ん
 だれか仲間がいる。
 そう思って、音のしたほうへ行ってみた。
 ところが、だれもいない。
 大木が倒れたようすもない。
 ひたすら森閑としている。
 変だな?
 と、急に頭の真上から笑い声がした。
 「はっはっはっはっはっはっ」
 首をかたむけて見上げた。
 きらきらとした青い空が見えるばかり。
 だれがいるはずもない。
 「はっはっはっはっはっはっ」
 その青い空から、また笑い声が降ってくる。
 ははぁ~。
 こりゃあ、きっと天狗だな。
 ひとに聞いたことがある。
 天狗笑いとか天狗の高笑いとかいうやつだ。
 きこりは、空にむかって、じぶんも大声で笑った。
 正体はわかっているぞ、怖くはないぞ、とでもいうふうに。
 「はっはっはっはっはっはっ」
 それにこたえて、こんどはもっと大きな笑い声がひびいた。
 「はっはっはっはっはっはっ」
 きこりも、さらに大声で笑いかえした。
 「はっはっはっはっ――」
 まだ笑いが終わらずに、開いた口を天にむけているときだ。
 空いっぱいに天狗の大きな顔があらわれた。
 真っ赤な顔、長い鼻、見ひらいた大目玉に、大きな口。
 きこりは、あんぐりと口をあけたまま見上げていた。
 そのうち足がふるえだす。
 大目玉が、ぎろりときこりをにらみつける。
 きこりは、ごくりとツバを呑みこむ。
 と、もつれる足で駆けだした。
 たまらずに、お山から転げおちるように逃げ帰った。
 ふもとの小沢では、天狗の笑い声は聞こえなかったらしい。
 まして、空いっぱいの天狗の顔など、だれも見なかったという。
 黒森さんの天狗は、ひまをもてあますと、ときどきお山に入ってくる人間をからかう。
 ひどいことをするわけじゃあない。
 せいぜい天狗笑いのような罪のないいたずらだ。


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# by miyako_monogatari | 2009-03-03 21:20

■ 天狗のすもう


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 早池峰(はやちね)の空に、ぽつん、豆つぶのようなものがあらわれた。
 と見るまに、ぐんぐん大きくなってくる。
 もくもくっ
 もっく
 もくもくっ
 豆つぶは、黒い雲のかたまりになった。
 あっというまに黒森さんの上までやってきた。
 「よぉ、天狗のグウ。
 折れた鼻は、なおったみたいだな」
 オレーサマだ。
 この土地ではカミナリを、お雷(れー)さまと呼ぶ。
 天狗は気やすく雷公と呼ぶ。
 「おいおい、雷公!
 おまえのおかげで、ひどい目にあった。
 きょうは負けんぞ」
 「負けんぞって、なにをする気だ?」
 「勝負だ。
 月山のてっぺんで、すもうをとる」
 「そりゃ、おもしろい」
 天狗には、お気にいりの場所が、ふたつあった。
 ひとつは黒森さんの一本杉の上。
 ふたつめが月山のてっぺんだ。
 月山は黒森さんの東。
 宮古湾をかかえたオモエ半島にそびえている。
 東と西は海。
 天狗はそこに座って、東の海を眺めるのが好きだった。
 さえぎるものは、なにもない。
 ひたすら遠くまで大海原が広がっている。
 天狗とオレーサマは、月山のてっぺんにきた。
 天狗は言った。
 「すもう以外の術を使ったら負けだ。
 イナズマも金剛杖も、なしだ。
 負けたほうが家来になる」
 よーし、というので、すもうが始まった。
 どうやら力は互角らしい。
 天狗がオレーサマをかかえて投げとばそうとする。
 オレーサマが天狗の足に自分の足をひっかけて転がそうとする。
 どちらのわざも決まらない。
 とっくみあった姿勢のままで力がつりあっている。
 そのつりあいが、ちょっとしたひょうしに崩れた。
 とっくみあったまま同時にかたむいた。
 おっとっとっとっ。
 踏んばったとたんにつまずく。
 地をはう松の根っこに、ひょっとつまずく。
 と思ったら、いっしょに、せまい頂上から転げおちた。
 ごろーんごろごろごろっ
 ざっぶーん
 海を泳いでいたトドの群れが、あわてて逃げていく。
 澄んだ海は気持ちよかった。
 天狗とオレーサマは、しばらくのあいだ泳ぎまわった。
 このふたり、仲が悪いかというと、ほんとうはそうでもない。
 どちらかといえば、まあ、友だちみたいなものだ。
 天狗はオレーサマの力を借りることがあった。
 ときどきチカナイ川の岩船(いわふね)に行く。
 チカナイ川は水が澄んできれいだ。
 川のなかの岩船は、大きな岩がくぼんで淵のようになっている。
 天狗は空に呼びかける。
 「お~い、雷公!
 ちょっとあれを頼む」
 あらわれたオレーサマ、空から岩船めがけて、小さなイナズマを、ひょいと投げおとす。
 岩船の水が、ちょうどいい湯かげんになる。
 冷たい水でも天狗は平気だ。
 でも、たまには熱い湯を浴びたくなる。
 気がむくとオレーサマもおりてきて、湯を浴びる。
 なんの話をするでもない。
 まして背中を流しあうわけじゃない。
 いっしょに湯につかるだけだ。
 ――すもうの勝負は引き分けた。
 おあずけだ。
 どちらも相手の家来にならずにすんだ。
 「ほんでば」
 「おう」
 オレーサマは黒雲に乗って、ぴゅーっと引きあげていった。
 天狗も、羽うちわをひとふりすると、ふんわり宙に舞った。

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# by miyako_monogatari | 2009-03-03 12:32

■ 鼻折れ天狗


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 天狗の鼻が折れた。
 カミナリにうたれて、黒森さんの一本杉のてっぺんから、落っこちたからだ。
 鼻のさきから、地面にぶつかったからだ。
 折れた鼻が、ぶら~りぶらさがってる。
 痛くはないが、かっこ悪い。
 空を飛んでも高い鼻のさきで風をきることができない。
 だいいち、ぶらぶら邪魔でしようがない。
 どうしよう?
 そうだ、山ノ神さまになおしてもらおう。
 山ノ神さまならなおせるだろう。
 山ノ神さまは、黒森さんに住んでいる。
 でもいまは、ふもとの田んぼにおりて、田ノ神さまになっている。
 鼻が折れたのは、たぶんまだ知らない。
 秋の終わりにはお山にもどってくる。
 それまで待てない。
 かっこ悪い鼻折れすがたを見られるのは、いやだ。
 いやだけど、しかたがない。
 お山をおりて、みてもらおう。
 天狗は、おずおずと田ノ神さまのほこらに行った。

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 「どうした、グウ?
 その鼻は」
 さっそく言われた。
 やっぱり目だつらしい。
 さすがの天狗も、赤い顔を、さらに赤らめた。
 天狗は田ノ神さまに弱い。
 田ノ神さまは女だ。
 だけど男まさりだ。
 しゃべり方も男のようだ。
 うなだれながら早口にわけを話した。
 「そうかそうか。
 じゃあ、なおしてみようかの」
 田ノ神さまは自分の鼻を指でこする。
 鼻の油のついた指さきで天狗の鼻を一回なでる。
 おまじないの言葉をつぶやく。

  インボォー トォーレ
  カァーラグ マンゼイ
  ハッタギはねっと カラスがよろこぶ
  いでえどご いでえどご
  向げえ山さ 飛んでげー

 天狗が言った。
 「いでえどご、いでえどごって、べつに痛くはないんだが……」
 「まあ、そうじゃろ。
 天狗の鼻なんて張りぼてみたいなもんじゃからの」
 また天狗が言った。
 「そんな人間のとなえるような呪文が、天狗のおれにきくか?」
 「ことばなんか、なんでもいいんじゃ。
 要は、心のなかの念じ方しだいなんじゃ」
 と言ってるうちに、天狗の鼻が、もとのように高だかとなってきた。
 「おぉ、どうやらなおったようじゃの。
 まあ、しばらくは、おとなしくしておることじゃの」

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 折れた鼻がなおったうれしさ半分。
 折れた鼻を見られ、なおしてもらった気恥ずかしさ半分。
 気持ちがふたつにわかれて、どうにも落ちつかない。
 「助かったよ」
 ぶっきらぼうに、ひとこと、お礼を言う。
 と、すぐに天狗は田ノ神さまのほこらを出た。
 なんとなく丸まっていた背中を、しゃきっと伸ばす。
 黒森さんの一本杉のてっぺんにもどって、あぐらをかく。
 東の海から吹いてくる風が鼻のさきに当たる。
 もうぶらぶらしないぞ。
 もうだいじょうぶだ。
 ありがとよ、田ノ神さま、山ノ神さま。
 それにしても、頭にくるのはオレーサマの雷公だ。
 こんど会ったら、とっちめてやろう。
 天狗は、りゅーっとのびた鼻を、片手で、しゅっとしごく。
 そうして早池峰(はやちね)のそびえる西の空を、きりっとふりかえった。


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# by miyako_monogatari | 2009-03-02 14:08