■ ケッケーケー


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 河童っつーのは、
「ケッケーケー」
 ど鳴ぐんだあ。
 好ぎな食いもんは、キュウリだあな。
 閉伊川の、川ばたの畑さ、キュウリが、いっぺえなる。
 そうすっと、千徳あだりさ住んでる河童が出はってきて、とって食う。
 食い飽ぎっと、そばさ立ってるカガスさ突ぎつけて、こう喋(さべ)んだ。
「ケッケーケー」
 これはさ、
「けでやっけー食え」
 っつー意味だあな。


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# by miyako_monogatari | 2009-06-11 04:14

■ スマコワラス


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 河童はさ、家のながさ、上がりこむごどが、あんだあな。
 家さ住みついだ河童は、スマコワラスになっと。
 スマコワラスっつーのは、漢字だあど、「隅こ童子」ど書ぐ。
 座敷ワラスど、おんなずもんだぁべな。


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# by miyako_monogatari | 2009-06-11 04:04

■ 河童の話


◇黒森さんの河童

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 黒森さんに河童がいた。
 言い伝えをもとにした絵図にも「河童沼」というのが描かれている。
 河童沼は涸(か)れてしまったそうだ。
 河童が、どこに引っ越したかは、わからない。


◇河童の嫌いなもの

 女遊戸(おなつぺ)川にも河童がいた。
 水のなかを光りながら落ちてくる鎌(かま)をみて肝(きも)をつぶした。
 それから二度と姿をみせなくなった。
 引っ越し先は、わからない。


◇茂市の河童

 岩泉の河童は、安家(あっか)川を追われた。
 小本(おもと)川も追われた。
 閉伊川の茂市(もいち)あたりに住みついて、村の人たちに、いたずらのかぎりを尽くした。


◇在り木の河童

 閉伊川に突きだした岩の上に、在り木のほこらがある。
 ほこらの下は深い淵になっている。
 河童が住んでいて、ときどき近くを通りかかる人を襲う。


◇田代川の河童

 馬場(ばんば)の滝にも河童がいた。
 滝壺の横穴に住んでいた。
「むがすは、河童あ、よぐ見だもんだあが」
 あたりのじいさんやばあさんが言う。
 最近は、だれも見かけない。
 それでも、子どもが夕暮れまで川で遊びほうけていると、親は口ぐせのように言う。
「河童に引っぱり込まれんがぁ。
 早ぐ帰ってこぉ」


◇砂利とりの穴

 小学校のときだった。
 同学年のO君が閉伊川で溺れ死んだ。
「河童に引きずりこまれだんだ」
 と言われた。
 それから学校では、川で遊ぶのを厳禁した。
 ほんとうのところは砂利とりの穴にはまったらしい。


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# by miyako_monogatari | 2009-06-10 02:41

■ イダゴ墓

 
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 津軽石の根井沢さ、トヅ(橡)の大木が、立ってっぺ。
 その根もどさ、お墓っこが、あんだ。
 お墓には、「神女」っつー文字が、刻まれでる。
 これはさ、イダゴさんを葬った、墓っこだ。
 イダゴ墓ど、呼ばれでる。

 昔むが~すの話っこだ。
 根井沢のトヅの大木には、天狗が住んでだった。
 近くの家に、ちっちゃけえ女ごわらすがいだった。
 女ごわらすは、よぐ、トヅの実っこをひろって、遊んでだった。
 とごろがさ、ある日のこったあ。
 女ごわらすが、夜(よ)んまなっても、家さ帰ってこねえ。
 とうとう、そのまま、行方が、わがんなぐなってすまった。
 村の人がどうは、噂しあった。
「神隠しだあべ」
「天狗に、さらわれだんだあべ」
 女ごわらすが、いんなぐなってから、ちょうど三年三月と三日になる日だった。
 ひょっこりど、女ごわらすが、家さ帰ってきた。
 どこさ行ってだんだが、なにがあったあもんだあが、女ごわらすは、なんにも喋んながった。
 ただ、帰ってきたとき、手さ、赤(あげ)え石っこを、ひと~づ、握ってだった。
 そうして、手ぇ開いで、ひとごど喋ったもんだ。
「イダゴ石だあが」
 天狗に、もらったんだあべな。
 女ごわらすは、それがら、イダゴになった。
 イダゴっつーのは、ほれ、ホドゲ降ろすっつーて、死んだ人の霊ぇ、わが身にとりつかせる。
 口寄せっつーて、死者の言葉ぁ伝える。
 占いごともする。
 女ごわらすが、イダゴ石ぃ手にすて、歌っこでも歌うように、まじないごとをとなえる。
 そうすっと、いろんなことを言いあでるようになった。
 近所じゅうで評判になった。
 評判を聞ぎつけで、遠ぐからも、占ってもらうべーど思って、いっぺえ人がやってきた。
「ご信仰せんすっけえに、お守(まぶ)れってくださんせ」
 そういう、取り巻ぎみってえな信者が、何人もでぎだ。
「根井沢のイダゴさま」
 そう呼ばれるようにもなった。
 根井沢のイダゴ墓っつーのは、そのイダゴさまの、お墓っこなんだあどさ。

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# by miyako_monogatari | 2009-06-09 09:11

■ きりなしばなし 3

 
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 山の奥のほうさ、でっけえ池が、あったあど。
 その池のほどりさ、でっけえでっけえトチの木が一本、あったあど。
 下さ行って、見上げでみだっけえば、葉っぱが、うんとこさ、うんとこさ、おがってだったあど。
 その葉っぱのあいだがら、ひらひら、ひらひらど、白(しれ)えもんが、おりできたんだあど。
 ――なんだあべ?
 そう思って、引っぱってみだっけえば、天狗のフンドスだったあど。
 引っぱっても引っぱっても、長(なげ)えなげえフンドスだったあど。
 ――どのっけえ長えんだべ?
 そう思って、まだ引っぱってみだっけえば、天狗の長えなげえフンドスは、きりなぐ長がったあど。
 引っぱっても引っぱっても、天狗の長えなげえフンドスは、まだまだ引っぱらさったあど。
 そうすて、まだ、…………


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# by miyako_monogatari | 2009-06-06 11:16

■ きりなしばなし 2

 
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 山の奥のほうさ、おっきな池が、あったあど。
 その池のほどりさ、おっきなおっきな、トチの木が一本、あったあど。
 下さ行って、見上げでみだっけえば、葉っぱが、うんとうんと、おがってだったあど。
 その葉っぱのあいだがら、するするっと、赤(あげ)えもんが、伸びできたんだあど。
 ――なんだあべ?
 そう思って引っぱってみだっけえば、天狗の鼻だったあど。
 引っぱっても引っぱっても、長えなげえ鼻だったあど。
 ――どごまで伸びっぺえ?
 そう思って、まだ引っぱってみだっけぇば、天狗の長えなげえ鼻は、きりなぐ伸びだど。
 引っぱっても引っぱっても、天狗の長えなげえ鼻は、まだまだ伸びだど。
 そうして、まだ、……


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# by miyako_monogatari | 2009-05-29 01:25

■ きりなしばなし 1

 
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 山の奥のほうさ、おっきな池が、あったあど。
 その池のほどりさ、おっきなおっきな、トチの木が一本、あったあど。
 秋には実っこが、うんとうんと、なったあど。
 風こ、ぴゅーっと吹ぐずど、トチの実っこ、ひと~づ、
 ――コロコロッ ポチャ~ン!
 池こさ、落ったあど。
 そうして、また、風こが、ぴゅーっと吹ぐずど、トチの実っこ、ひと~づ、
 ――コロコロッ ポチャ~ン!
 池こさ、落ったあど。
 そうして、また、……


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# by miyako_monogatari | 2009-05-29 01:14

■ 煙突のてっぺんに


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「ラサの煙突のてっぺんには
 黄金の避雷針が立ってる」
 そんな話っこ、ガキのころに聞いだった。

 ――まあ、黄金の避雷針は、立ってなくてもいいどもさ。
 ラサの煙突は、おれが、くたばるまでは、立ってでほすーもんだがなぁ。

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# by miyako_monogatari | 2009-05-20 13:00