■ トンコロリン

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 早口ことばに、こんなのがある。
 「となりの客はよく柿食う客だ」
 言いかえては笑った。
 「となりの柿はよく客食う柿だ」
 ありえない話じゃないと思った。
 柿の精という妖怪もいるんだから。

 やはり子どものころ、こんな話を聞いた。
 熟した柿の実が鈴なりになっている。
 なのに、だれもとらない。
 鳥がついばむ。
 とんっと落ちて、ころころ転がる。
 熟しすぎて、ぽたっと落ちる。
 それを踏んで、すってんころりん、すべって転ぶ。
 すると、どこからか、笑っているような声がする。
 「ケッケッケッー」
 「おかしいな?」
 あたりを見まわしても、だれもいない。
 それでもまた声がする。
 「クエ、クエ、クエー」
 こんどは「食え、食え、食えー」と言っているようにも聞こえる。
 そのうち、柿の木のそばを通ると、もっと驚かされる。
 「ケーッ!」
 と大声がする。
 「なんだなんだ?」
 と思っているうちに、妙に赤い人の首が、ぼたっと落ちてくる。
 これは、トンコロリンという柿の精のしわざだ。
 せっかく柿の実が熟したのに、だれもとらない。
 それを怒(おこ)っているんだ。


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by miyako_monogatari | 2009-02-25 06:46
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