■ 沖の井


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 浄土ヶ浜の沖さ、沖の井っつーどごがある。
 海の底がら、真水が湧ぎ出でんだぁな。
 四、五町ばがり沖合いっつーがら、五百メーターぐれえだべな。
 北東っつーがら、日出島寄りのほうだべ。
 ――すなわち、いにしえよりその名聞こゆる沖の井これなり。
「奥々風土記」っつー古い本には、そう書がれでる。
 沖の井ど呼ばれで、むがすから有名だったっつーこったぁな。



【ノート】


◇おきのゐて身をやくよりも悲しきは
      みやこ島べの別れなりけり

 この歌は、平安時代に編まれた「古今和歌集」に、
 「おきのゐ、みやこしま、小野小町」
 として載っている。


◇「古今集」と同じころにつくられた「伊勢物語」にも、この歌がある。

 むかし、陸奥(みちのく)にて、男、女、住みけり。
 男「みやこへいなむ」と言う。
 この女、いとかなしうて、馬のはなむけをだにせむとて、おきのゐて、都島という所にて、酒飲ませてよめる。

  おきのゐて身をやくよりもかなしきは
       都島辺の別れなりけり


◇「おきのゐ」を、浄土ヶ浜の沖にあって清水の湧く沖ノ井、「都島辺」を浄土ヶ浜とする話がある。


◇「奥々風土記」という本には、こう書かれている。

 宮古の里の東に浄土ヶ浜というあり。
 その四、五丁ばかり沖合いの海中に、
 真清水の湧きいずるところあり。
 すなわち、いにしえよりその名聞こゆる沖の井これなり。


◇江戸時代のなかばのこと。
 宮古の高橋直道という風流好きな人が、八月十五夜の名月に舟を出した。
 沖ノ井を探しあてて、こう詠んだ。

  沖ノ井をいつくと問へばみちのくの
       宮古島辺に有明の月

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by miyako_monogatari | 2009-02-09 22:04
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