■ 狐の仕返し


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 和井内(わいない)の奥に、鉱泉が湧いている。
 ひとりの爺さんが湯守(ゆも)りをしていた。
 ある夜、だれかが戸をたたく。
 戸をあけると、男たちが数人、猟銃をかまえて立っている。
 「金を出せ」
 そう言っておどす。
 爺さんは、持ちあわせの財布を、恐るおそるさしだした。
 「これではたりん。
 もっとだ。
 ないと言うなら撃ち殺す」
 男たちは猟銃を突きつける。
 「ギャーッ!」
 爺さんは叫んで飛びだした。
 山の奥から村のなかまで、ころげながら走った。
 話を聞いた村の衆が、駐在のお巡りさんを先頭に駆けつけた。
 湯守り小屋に強盗のすがたはない。
 かわりに、爺さんが渡した財布が床に落ちている。
 なかの金には手つかずだ。
 これは妙だと小屋のなかを調べた。
 すると、たくわえてあった食べものが食いあらされている。
 そこら一面に、犬のような足跡が、いくつもある。
 「さては爺さん、化かされたな」
 村の衆は大笑いになって引きあげた。
 ひとりでは心ぼそい爺さんも、トボトボと、あとについて山をおりた。
 爺さんは、数日まえ、狐の穴を松の葉でいぶした。
 出てきたのを一匹つかまえた。
 皮をはいで、村で売った。
 その仲間が仕返しにきたのだろうと、もっぱらのうわさになった。

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by miyako_monogatari | 2009-02-07 11:01
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