■ あっかんべえ


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 むかしの話だ。
 田代村の馬方が、雄又(おまた)の峠をくだった。
 背の低いダンゴ馬に荷車を引かせて、宮古の町まで用足しにやってきた。
 山口村から宮古までは一面の田んぼ。
 そのなかを山口街道がのびている。
 馬方が、なかほどまできた。
 すると、だれかが道のまんなかで、はいつくばっている。
 なにか、せっせとやっている。
 「なんだぁべ?」
 よく見たら、黄色くなったクルミの葉っぱを、じじいがひろい集めている。
 土の上をはいつくばっているのは、このあたりで有名な金(かね)貸しだった。
 金貸しは、馬方を見上げて言う。
 「あぁ、よぐ迎えさきた。
 お金を早ぐ、俵さ詰めろ詰めろ」
 馬方は、
 「なに喋ってんだぁが」
 そう言いながら、立ち止まりもせずに通りすぎた。
 「おい、こら!
 どごさ行ぐ。
 馬鹿が!
 止まれ、止まれ!
 早ぐお金を、集めろ集めろ!」
 金貸しは、はいつくばりながら悪態をついた。
 去っていく馬の後ろの荷車に、一匹の狐が、後ろ向きに座っていた。
 狐は、金貸しのじじいに向かって、
 「あっかんべえ~!」


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by miyako_monogatari | 2009-02-06 15:00
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