■ オガンブヅ


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 昔むかし、田代の吾妻(あずま)というところに、城館があった。
 いまは舘八幡(たではちまん)になっている。
 そこに、八幡太郎と、おがみが住んでいた。
 おがみというのは、おかみ、奥さんのことだ。
 八幡太郎というと、源義家を思い浮かべる。
 田代の八幡太郎は、源義経のことだといわれている。

 あるとき、八幡太郎が、おがみに言った。
 「戦(いく)さに行く」
 八幡太郎はでかけた。
 おがみは毎日、八幡太郎が戦さに勝つように念じた。
 念がつのって、とうとう川の神さまに身をささげた。
 田代川の淵に、身を投げたのだ。
 八幡太郎は、どんどん勝ち進んだ。
 津軽の海を越えて、エゾまで行った。
 そんな噂が伝わってきた。
 それからどうなったかは、よくわからない。
 エゾから大陸に渡ったともいわれる。

 そのころ、田代では、ふしぎなことが起こっていた。
 おがみが身を投げた淵は深い。
 その深い淵のまんなかに、にょっきりと石が立った。
 太い頭を水面にのぞかせた。
 石は、おがみだといわれた。
 ふしぎなことは、まだ起こった。
 淵の近くを通ると、にわとりの鳴くような声が聞こえる。
 おがみが身を投げたとき、一羽のにわとりを胸に抱いていたからだ、といわれる。
 なぜ、にわとりを抱いていたのか?
 それは、だれにもわからなかった。
 いつしか村の人たちは、おがみが身を投げた淵を、オガンブヅと呼ぶようになった。
 オガンブヅというのは、「おがみの淵」という意味だ。


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by miyako_monogatari | 2009-02-06 10:07
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