■ ヌガボーとリンゴバナ


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 ヌガボーの家さ、長者どんの家がら、お使いが来たった。
 「氏神さまのお祭りがあっから、家さ来(こ)う。
 新しぐ来たかあさんもリンゴバナも、ヌガボーどいっしょに来う」
 ヌガボーは、いっつも着てるボロで出がげだった。
 リンゴバナは、かあさんにつぐってもらった新しい着物で出がげだった。
 「よぐ来た、よぐ来た」
 長者どんは上機嫌で座敷へ上げだ。
 そうして、ヌガボーとリンゴバナに喋った。
 「畳さ敷いだ引ぎ綿の上を、うまぐ歩ったら、ごほうびをやっつぉ」
 「おら、歩げねー」
 ヌガボーが言った。
 リンゴバナが、
 「そんなら、おらがやる」
 って言って歩いだ。
 体じゅうさ引き綿がくっついで、うまぐ歩げねえ。
 「ヌガボーもやってみろ」
 長者どんが、やらせでみだ。
 足の裏にも着物にもくっつけねえで、うまぐ歩いだ。
 長者どんはヌガボーを褒めだ。
 庭に雀っこが飛んできて、座敷のようすを眺めでだった。
 長者どんは、こんどは雀っこがとまってる木を指さして言った。
 「あの枝ぁ、雀っこが乗ったまま折っかいで、床の間の花瓶にさせ。
 そしたら、ごほうびやっつぉ」
 「おらがやる」
 そう言ってリンゴバナが馳せでった。
 庭の雀っこは飛んでった。
 リンゴバナが座敷に入った。
 雀っこ、まだ戻ってきた。
 「おら、でぎねー」
 そう言うヌガボーに長者どんがやらせだ。
 「いいがら、やってみろ」
 雀っこは逃げねえで枝にとまったままだった。
 ヌガボーは長者どんがら、いっぺえごほうびを貰った。
 新しいかあさんは、リンゴバナを連れで、長者どんの家がらさっさど帰ってしまった。
 リンゴバナは失敗べえり。
 ヌガボーは、うまぐやりとげで褒められる。
 新しいかあさんは、ゴセが焼げで、ゴセが焼げで、しょうがねえ。
 そうして、つぶやいだ。
 「ヌガボーが、いんなぐなれば、いいんだぁが」


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by miyako_monogatari | 2009-01-30 19:48
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